キャンパスマスタープラン2022
88/142

教育と研究の両側面において東海機構が掲げる「知のコモンズ」を形成し、新たな価値を創造していくためには、教育研究機能の充実だけでなく、学生教職員の「ウェルビーイング」を実現することが重要となる。これまでのマスタープランでは福利厚生施設の整備という視点に偏っていたが、精神・身体を含む総体的な意味での健康や幸福を意味するウェルビーイングの視点でキャンパスを捉え直す。特に、次期6年間最大のプロジェクトと言える東海機構プラットフォームが、誰にとっても居心地の良い場所となり、 大学生活および生涯のウェルビーイング空間になることが期待される。東山をはじめとした本学のキャンパスは、周囲に学生街と言えるような街が形成されておらず、キャンパス内に学生の交流を促すようなリフレッシュスペースが必要である。海外の多くの大学は学生の住む場所でもあり、バスケットボールコートから娯楽までが揃うが、こうした事例を参考に、キャンパス全体を健康につながる場として考える必要があるだろう。カフェや売店の清潔感や快適性、アクセシビリティを高めるなど、学生に対するホスピタリティを向上させることも重要である。前回マスタープランで掲げられたアクションプランのうち最大の課題は、各種学生サポート機能の分散状況と、それを解決する総合サポートセンターの設置であった。工学部 7号館地区の再開発によって、学生相談センターなどが入っていた 7号館が 2021年に解体され、現在は、さらに分散およびアクセシビリティに課題を抱えた状況である。しかしながら、東海機構プラットフォームの計画を通じて、学生サポート関連の多くの機能の集約が実現する見通しとなった。また、北部食堂の建て替えを工学部 7号館地区再開発計画に組み込むという目標は実施計画に移され、 2023年に完成する予定であり、課題となっていた学生の自修スペースも寄附によって整備される。課題となっていたリサーチパークへの食堂施設の設置については、C-TECs (エネルギー変換エレクトロニクス研究館)整備に合わせて検討されたものの、事業性の観点から弁当販売所の整備にとどまった。さらに、食堂が不足している地区へのキッチンカーの出店も今後の課題となる。大幸キャンパスには、留学生宿舎の 整備と合わせて民間店舗を誘致し、飲食施設が整備された。サークル関連施設については、2016年に宇宙線望遠鏡施設を改修した音楽練習室が整備されたが、依然として、老朽化した体育館や屋内プール、学生会館などの課題が残っている。また、屋外グラウンドやボート艇庫の整備は行われたものの、気軽な健康チェックや保健師に相談できる環境、勉学や職務の合間に手軽に各種の運動ができる総合的なアスレチックセンターなど、健康づくり支援の機能は不十分である。研究の息抜きの場所が見当たらない、緑は多いが憩いの場が少ないといった意見も多く、今後のウェルビーイング実現に向けた課題となる。0701|中期的な目標2|点検・評価と課題3|6か年における実施計画❶ 学生生活の拠点としての東海機構プラットフォーム• 東海機構プラットフォームにおいては、普段の学生生活における様々なサポートから、グループ活動、 個別相談などを状況に応じてシームレスに提供可能な空間が計画されている。具体的には、キャリア支援を含む各種相談の総合カウンター、相談室としても使える大小のアクティブラーニング室を設置する。支援職員の動線など、支援のしやすさに配慮した計画とし、ラーニング・コモンズや交流広場を含めた全体で学生支援が展開できる空間構成とする。3-1-13 ウェルビーイング

元のページ  ../index.html#88

このブックを見る