民族・文化や国籍・性別・年齢の違いや障害の程度、子育てや介護といったそれぞれが置かれた立場を理解し、差別や分断なく、多様な学生や教職員・来訪者が安心して快適に過ごせるキャンパスの実現が求められている。こうした多様な立場の人が集えるキャンパスづくりは、ライフ・ワークバランス、持続可能な社会を考える上でも重要である。国際化や男女共同参画、バリアフリーといった個別の対応にとどまらず、これまで以上の多様性の包摂に向けて、今後どのような場の確保が有効となるかを検討していく必要がある。現在のグリーンベルトは、学生・教職員だけでなく、その家族や子供たちが集い・遊べる貴重な場所となっている。そのような場所の確保は今後も必須であり、東海機構プラットフォームの実現で、キャンパスのこうした価値を高めることが期待される。留学生数が増え、教育プログラムが充実する中でも、日本人学生と留学生の分断が課題である。今後は、日本人学生と留学生間の交流や共修を促進し、国際化の「質」を高める様々な仕掛けをしていく必要がある。さらに、世界的な感染症拡大の問題を踏まえ、オンライン/オフラインでの国際交流に向けた整備によって、本学が推進するグローバル・マルチキャンパス構想※1を実現することが目標となる。前回マスタープランでは国際化、ユニバーサルデザイン・男女共同参画に分けてアクションプランが示されていたため、それぞれに達成状況と課題を整理する。• 日本人学生と留学生の混住宿舎としては、計画通りインターナショナルレジデンス大幸(約 6,000m²)が 2019年に完成し、日本人学生に割り当てられた 20%の部屋がほぼ埋まった。しかし、インターナショナルレジデンス山手サウスや国際櫻鳴館といった他の宿舎も含めて、日本人学生と留学生間の交流が乏しいという課題があり、施設整備だけでなく、運営面の工夫や仕掛けが必要である。また、学生寮のセキュリティ強化も課題であり、同時に、交流を阻害しない工夫が必要である。• アジアサテライトキャンパスは、ウズベキスタン、ラオス、インドネシアに新たに設置されたが、国内キャンパスとの交流は少ない。連携を強化し、国内外にいる教職員、学生間の交流が促進されるような取り組みが課題である。• 国際会議が可能なスペースは充実し、ITbMや工学部新 7号館など、飲食を伴うパーティに対応できるキッチンを備えたラウンジスペースも整備されつつある。しかしながら、コンテンプレーションルーム※2、 フューチャーセンター※3、インフォメーションセンターはまだ設置されていない。また、交流プログラム実施用だけではなく、多様な学生・教職員らが気楽に集い、交流できるスペースの整備は未だ課題であり、一般学生も集いやすい場所への設置が望ましい。• 毎年1000件を超える多くの留学生の個別相談があり、居場所がないという悩みや、精神的な不調を抱える事例も増えており、新たな課題となっている。• 学内における安全な動線の確保、サインやホームページのアクセシビリティの向上、ユニバーサルトイレは継続的に改善されている。一方で、情報アクセシビリティを向上させた講義室の設置は実現されていない。0681|中期的な目標2|点検・評価と課題❶ 留学生宿舎❷ アジアサテライトキャンパス❸ 多様性を受け入れる交流スペース❹ ユニバーサルデザイン3-1-12 ダイバーシティ
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