わが国では、国内の温室効果ガスを2030年に46%さらに50%削減の高みを目指す(2013年度比)とされ、 大学を含む“業務用その他”部門では、エネルギー由来の量を2030年までに51%削減するとしている。この目標に準拠し、本学ではキャンパスのエネルギー消費総量ベースで2030年までに51%以上削減(2013年度比)を目指す。この目標達成には電力調達におけるCO2排出係数が深く関係し、電源供給における着実な非化石エネルギー化が鍵となるが、需要家側であるキャンパスの省エネルギー・創エネルギー推進の努力なくして目標達成は成し得ない。よって、実効性のある継続的・包括的な省エネルギー対策の推進ならびに創エネルギー設備の整備によるエネルギー使用総量の削減を目指すとともに、このための財源確保を学内外に求 める。• 本学は、2021年実績でエネルギー消費由来のCO2を年間約 6.8万t 排出し、名古屋市の業務部門最大の排出事業者となっている。これは本学の教育・研究におけるアクティビティの高さを示しているが、一 方でエネルギー消費や地球環境保全に関する法遵守を含め、大きな社会的責務を担うことを示唆してい る。• CMP2016で揚げた低炭素エコキャンパス化を推進し、CO2削減のアクションプランにもとづいた省エネルギー対策を実施することで「2024年時点で2005年比30%(2021年時点で27%)を超えるCO2排出量削減」の目標に対し、コロナ禍の影響も含むが2021年時点で33.4%(CMP基準の評価による)を達成した。 • この目標達成に向けて取り組んだ継続的・包括的な省エネルギー活動が評価され、平成29年省エネ大賞(資源エネルギー庁長官賞)、第 3 回サステイナブルキャンパス賞(大学運営部門)を受賞している。• カーボンニュートラルという新たな課題に対する目標設定とロードマップ作成が必要である。• 本学のエネルギー消費総量は、施設の増床に伴って微増傾向にあるため総量削減が課題である。• 継続的・包括的な省エネルギー活動は成果をあげてきたが、基本的な削減対策としていた計画的な設備更新への財源投入の停滞時期が長く続き、また構成員による運用上の取り組みについても削減余地が少なくなっているため、継続的な設備投資への財源確保と抜本的なエネルギー削減策が必要である。• キャンパスのカーボンニュートラルに対する目標設定とロードマップを作成し、進捗評価を行う。本学で取り組むべき具体的な項目を図3-2に示す。• 従前の省エネルギー推進体制をカーボンニュートラル対策の実施体制へと発展させ、多様化・複雑化する取り組み方策を整理し、適切な手法を選択して実施に移す。• 「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」などの大学連携組織に参画し、大学のカーボンニュートラルに対するポリシーやロードマップを情報発信するとともに、年次評価を公表する。• カーボンニュートラル実現に資する研究を推進する構成員の高度な頭脳・知識・経験の活用を図るとともに、キャンパス内実証を行うキャンパス・リビングラボラトリ※1を推進する。0561|中期的な目標2|点検・評価と課題❶ 名古屋大学のエネルギー使用量と社会的責務❷ 低炭素エコキャンパス実現のための取り組みと実績❸ 課題3|6か年における実施計画❶ キャンパスのカーボンニュートラル化への実施体制の強化3-1-5 カーボンニュートラル化
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