名古屋市では都市緑地法に基づいて、緑地の適正な保全や緑化の推進に関する基本計画を定めているが、 緑地を増やし、広域的な緑のネットワーク形成が目標に掲げられている。こうした方針を踏まえ、本学では全てのキャンパスで緑地や生態系の保全を基本としつつ、自然通風や水脈等を考慮した、生態系における均衡バランスを担保した適切な維持・整備の方針を定める。適切な保全・整備を行うために、以下の 3 つにゾーニングする(図 2-12)。保全緑地や野外観察園を中心に、生態系保全を重視する場。樹木管理区域の設定を通し、優先順位をつけながら景観保全を重視する場。教育・研究活動や学生・教職員の休憩などの大学としての機能や、周辺地域との連携を推進するための交流スペース機能を兼ね備えた、自然環境の享受と人の活動を重視する場(屋外環境の整備、水辺環境の整備、並木道の整備)。• 雨水による氾濫や水土砂災害を防ぐためには、これらを引き起こす雨水の流れを含む「集水域」を把握する必要がある。東山キャンパスにおいて、集水域は大きく 2 つの流域があり、それぞれに地下流路が想定されている。立地計画に際してはこれら地形・集水構造を把握し、土砂災害や雨水氾濫による危険予知に基づいた対策を行う。• 名古屋市における卓越風は年間を通して北北西-南南東を軸に吹いており、東山キャンパスにおいてはグリーンベルトから丘陵の緑地に流れる風の道が想定される。このようなキャンパス内の風の通り道に配慮して、配置や建物高さに留意した施設整備計画とする。2021年に改定された「名古屋市みどりの基本計画 2030」において東部丘陵里山ゾーンからつながる「緑の拠点」の一角に位置している(図2-10)。こうした緑地や水辺には貴重な動植物が生息し、キャンパスの内外を移動している。動物の移動には緑地の連担が重要となるが、そうした緑地の質・規模の維持と向上を図る(図 2-11)。キャンパス内の緑地や水辺環境は、地域の自然環境を担保し、キャンパスを特徴づける重要な景観資源である。これら自然環境は動植物も含めた総合的な資源であることを尊重した上で、維持に努めるとともにグリーンインフラの形成に努める。また、市の計画においても広域的な自然環境としての意味を持つ、「溜め池」の一つである鏡が池をはじめとした水辺環境は親水空間としての景観形成を図る。0301|緑地・生態系のゾーニング方針❶「生態系保全ゾーン」❷「景観重視ゾーン」❸「緑地活用ゾーン」2|エコロジカルプランニング(生態的土地利用計画)3|東山キャンパス❶ 東部丘陵地におけるキャンパスの緑地の維持2-2-3 緑地・生態系保全計画
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