2000年に制定された「キャンパスマスタープラン大綱」を踏まえ、CMP2001においては、中長期的な観点から「交流の形態を基軸としたキャンパス・ゾーニング」の全体像が示され、これ以降のCMPにおいても「交流のゾーニング」をキャンパスの骨格を形成する考え方として踏襲してきた。さらに、東海機構では大学全体に「コモンズ」という統一概念を導入することを目標の柱とした。そこで、CMP2022では、将来にわたってキャンパス全体を「コモンズ(共創の場)」として捉え、その空間的なフレームワークとしてこれまでの「交流のゾーニング」を継承する。このゾーニング(図2-8)の考え方とは、大綱に示された「知の創造」「知の交流」「開かれたキャンパス」を達成するために、東山・鶴舞・大幸の3キャンパスを、各々の部局の活動が行われる『部局教育研究域』と交流の場としての『全学共用交流域』に大別し、さらに全学共用交流域は「地域交流ゾーン」「学内交流ゾーン」「教育研究交流ゾーン」に区分して整備する、というものである。また、地域交流ゾーンと学内交流ゾーンなど、交流ゾーンが重なる部分が「交流の拠点」とされ、特に東山キャンパスにあっては、グリーンベルトが本学のシンボルゾーンとされている。CMP2022では、教育研究活動とともにその交流を重視した上記の理念を継承しつつ、具体的に取り組むべき「交流スペース」※2の整備とキャンパス全体の機能配置の意味をより明確にする観点から、「全学共用交流域」「部局教育研究域」について以下のように整理を行う。 「全学共用交流域」は、それぞれの街路に沿った「交流スペース」の構成を示したものである。大学キャンパスには本質的な機能として知の探求に相応しい思索(自己との対峙)や対話(他者との交流)の空間が必要である。思索や対話といった行為は、講義室や研究室などの明確な機能をもった空間とは異なり、広場やオープンスペースと呼ばれる中間的領域(非機能空間)において発生しやすい。こうした屋内及び屋外における余白とも言える空間を積極的に評価し整備することは、開かれた知の拠点「コモンズ」を構成する上で極めて重要な視点である。特に屋内外をつなぐ空間として計画的に設置・保全されるべきという観点から、以下の交流域が計画されている。地域の道路との連続性のなかにキャンパスを位置づけることを重視したものであり、名古屋大学の顔として、景観に配慮し、地域に開かれた環境整備が求められる。東山キャンパスでは特に、四谷・山手通りに沿って連続した大学街の形成を見据えたものである。各キャンパスの主要な街路に沿った交流スペースであり、キャンパス内の学生・教職員や学外からの来訪者を含め、多くの人が行き交う主たる交流軸である。飲食施設や公開施設などと合わせた賑わいあるオープンスペースの整備が求められる。※1 ゾーニング:土地を利用目的ごとに範囲分けすること。※2 「交流スペース」:本CMPでは「パブリックスペース」「コモンスペース」双方を統合して「交流スペース」としている。文章中、 各々の機能について特段の意図をもって記述する場合には、構成員同士の交流や憩いの場に資する共有空間を「コモンスペース」、地域 社会・産業界をはじめとする対学外向けに開かれた公共空間を「パブリックスペース」と便宜的に使い分けることとする。0251|全学共用交流域❶ 地域交流ゾーン❷ 学内交流ゾーン2-2-1 交流スペースのゾーニング方針※12-2 サスティナブルキャンパス・フレームワークプラン
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