わが国初の一法人複数大学による東海国立大学機構が設立されて2年が経過しました。現代社会においては、地域は世界とつながり、世界は地域と通じる構造を形成しています。よって、地域に貢献するには国際競争力が必要であり、国際競争力の向上は地域との連携がなければ叶えられません。世界有数の経済圏にふさわしい新たな大学モデルとして、地域創生への貢献を使命とし地域中核大学を目指す岐阜大学、そして世界と伍する研究大学を目指す名古屋大学が、それぞれの力を共有する場となる東海機構の設立は、こうした考えを具現化するための第一歩です。始動にあたり、スタートアップビジョンに掲げた「国際的な競争力向上と地域創生への貢献を両輪とした発展」は、歴史の中で異なる特長を育んできた両大学だからこそ担える役割と考えています。2022年4月、私は東海機構のこれからの目標として「コモンズ」という統一概念を導入しました。東海機構を地域および人類共有の財産として、多様な人が構成員とインクルーシブな共同作業を通じて新たな価値創造と社会貢献を行う場として、「知のコモンズ(共創の場)」を目指すこととしています。東海機構では、「知のコモンズ」という共通するビジョンの下で、両大学が自らの歴史やアカデミックプランを踏まえてキャンパスマスタープランを作成することとしています。2024年には、新たな東海機構の、そして、コモンズとしてのキャンパスを象徴する「東海機構プラットフォーム(仮称)」が東山キャンパスの中心に完成します。これらを端緒に、大学のキャンパスが「コモンズ」として広く学内外で共有され、多様な人々があらゆる可能性にチャレンジしていく共創の場となることを期待しています。東海国立大学機構 機構長 松尾 清一巻頭言
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