キャンパスマスタープラン2022
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2008年10月、秩序ある良好なまちなみの形成と市街地の環境を維持しつつ、土地利用の増進を図るとともに適切な土地利用を誘導することを目的に、名古屋市全域において高度地区が拡充された。東山キャンパスでも、最高高さが31mの高さ規制がかけられ、建て詰まり状況はさらに進行し、将来計画に大きな影響を及ぼすこととなった。そのため、キャンパスマスタープラン2010の計画と名古屋市都市計画マスタープランの理念を実現する方策として、「高層化」による大学敷地の有効活用と緑豊かな環境の保全、周辺地域環境との調和を図る再開発等促進区を定める地区計画の策定に向けて、名古屋市と協議を進めた。2013年に策定に至った地区計画(図2-5,6)では、キャンパスを以下の通り4つに区分した。合理的な土地利用及び周辺環境との調和を図るとともに地域に開かれた緑豊かな大学キャンパスの形成を目標とした 土地利用を図る。周辺地域の環境に配慮した、教育研究施設の整備を推進する。土地の高度利用を図り、教育研究施設の集約的整備を推進する。学内の交流だけでなく、地域住民が大学に親しみを持ち交流できる緑豊かで開放された環境を形成する。緑地を維持し、緑豊かでゆとりとうるおいのある良好な環境を形成する。このほか、地区計画では以下の方針が定められた。•名古屋大学の代表的な施設及び緑豊かな自然環境やゆとりある空間を地域に開放し、また、学術研究成果を 広く社会に還元するため、これらを結び、周辺に緑を配したキャンパス散策路※1(歩行者専用通路)を整備する。• 緑豊かな自然環境や景観との調和を図るため、地区東部の緑化地区内の緑地を保全する。• 学内及び地域との交流を図るため、緑豊かでうるおいのある広場を確保する。さらに、東山キャンパス全体の建ぺい率※2 の最高限度が40%と定められ、四谷・山手通り沿いは壁面線を道路境界から1.5m後退させるとともに、圧迫感の軽減や景観への配慮が定められている。また、名古屋市風致地区内建築等規制条例により、東山キャンパスの本部建物東側部分は、風致地区内の建物高さ制限の緩和措置として緑地率を45%以上確保する必要がある(東山キャンパス保全緑地※3)。東山公園から続く都市の重要な緑地帯の一角を担うキャンパスにおいて緑地を確保・保全することは,大学としての責務である。今後、東山キャンパスの計画では、地区計画に従い、教育研究施設等の集約化及び高層化など、地区の開発整備を一体的かつ総合的に誘導し、緑豊かでゆとりと潤いのある良好なキャンパス環境の推進を図る必要がある。※1 キャンパス散策路:名古屋大学東山団地地区計画において主要な公共施設として指定されているもの。本学の代表的な施設を結ぶよう配置されており、学術研究成果やキャンパス内の自然に触れることができる回遊路として位置付けられている。※2 建ぺい率:敷地面積に対する建物の垂直投影面積の割合※3 東山キャンパス保全緑地:名古屋の都市構造上の貴重な緑である東山丘陵地の一画となる、豊田講堂東側の緑地であり、風致地区に指定されている。里山の生態系が良く残っている。0191|東山キャンパスの地区計画と風致地区規制❶ 教育研究地区(A) (最高高さ限度31m) (建築物の緑化率最低限度20%) ❷ 教育研究地区(B) (最高高さ限度60m) (建築物の緑化率最低限度20%) ❸ 交流地区(最高高さ限度20m) (建築物の緑化率最低限度25%) ❹ 緑化地区(最高高さ限度20m) (建築物の緑化率最低限度25%)2-1-4 主要3キャンパスの土地利用計画

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