東山キャンパス、鶴舞キャンパス及び大幸キャンパスは都市部に位置する本学の主要なキャンパスであり、名古屋市の広域的な都市構造の重要な一画を担っている。そこで、名古屋市都市計画マスタープラン2030 (図2–1)でかかげられた方針「ゆとりと便利が織りなす多様で持続可能な生活空間」「歴史と未来の融合で磨くオンリーワンの体験空間」「技術と経済力で輝くグローバルな創造空間」を踏まえるだけでなく、先端的な教育研究拠点として地域を先導し、名古屋市の都市計画のモデルとなる役割を担うべきである。まずここでは、各キャンパスの都市計画マスタープランを踏まえた、広域的な位置づけを行う。 東山キャンパスは、名古屋市の都市構造のなかでいくつかの重要な役割を担っている。一つ目には名古屋市東部の東山公園など広大な緑地を有する東部丘陵地の一角に位置している点である。東山キャンパス東部緑地は東部郊外ゾーンに位置付けられると同時に、名古屋市都市構造を担う環境軸(みどりのネットワーク)の一角として重要な緑地と位置づけられる。二つ目が、キャンパス内を通る四谷・山手通りに沿って、知的資源の源泉である大学の集積を活かした価値創造の場「イノベーション・リンク」と位置付けられている点である(図2-2)。東山キャンパスは この核として大学・企業との連鎖を拡大することが期待されている。また、山手グリーンロード沿道には 「四谷・山手通都市景観形成地区」が指定されており、その基本方針として「坂・緑・曲線を描く街路、 社寺や店舗、大学などの資源を活かし、自然・歴史・文化を大切にした感性豊かな都市空間とする」こととされている。今後も、文教地区の中心的存在として、他の大学群とも協力しつつ、より魅力ある地域づくりをリードする必要がある。 三つ目に、東山キャンパス内には地下鉄名古屋大学駅があり、公共交通の利便性は非常に高く、キャンパス周辺には良好な住宅地が立地している点である。住民の日常生活を支える都市機能を担う「駅そばゾーン」の一つとして、地域住民が行き来できる開かれたキャンパスであるとともに、開かれた憩いの場であり、街の一部としての利便性、防災機能にも配慮したものであることが期待される。鶴舞キャンパスは、都市計画マスタープランにおいて名古屋駅、栄、千種、金山を包含した、名古屋市を中心としたスーパー・メガリージョン※1のセンターとなる「都心ゾーン」に接している。 大幸キャンパスは、都市計画マスタープランで都心との近傍性などの特性を活かした再生が推進される「都心周辺ゾーン」に位置づけられ、このゾーンの地域拠点の一つに位置づけられた大曽根に近接している。また、周辺にはナゴヤドームをはじめとした集客施設や、名古屋市立大学、名城大学など文教施設も多いほか、地下鉄駅も近い。こうした多くの可能性をもつ立地特性を活かした、キャンパスの活用が期待される。※1 スーパー・メガリージョン:人口減少下にある我が国において、リニア開通による対流の活発化及びそれによる新たな価値の創造を図り、知識集約型社会の時代における我が国全体の持続的な成長につなげていくコアとなるもの0152-1-2 都市計画における名古屋大学キャンパス
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