況を点検・評価し、今後の実行計画や改善案を確認した。これらは次期CMPの策定に反映されるものであり、こうした点検評価のフィードバックが CMPの継続的進化につながっている。近年、国立大学を取り巻く社会情勢は大きく変化しており、大学に対する社会の期待と果たすべき役割も変化している。ここでは、CMP2016策定以降、施設やキャンパスの方針を定める上で考慮すべき社会状況について整理する。国際社会は2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」を開催し、世界が直面する深刻で困難な課題の解決に向けた達成目標「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」を採択した。以来、 日本においても、SDGs達成に向けた努力が行政、企業、市民社会それぞれで加速している。本学は、2005年に「名古屋大学環境方針」を策定し「持続可能な社会の実現に貢献すること」を理念として定めており、 SDGs達成に挑戦する人材を育成し、課題解決のための研究成果を社会に還元することは、市民社会の一翼 を担う本学の重要な役割である。SDGsには17の目標と169のターゲットがあり、求める取組みは広範にわたる。CMPにおいても、エネルギー問題をはじめ、イノベーション推進、地方創生、強靱化、ダイバーシティの推進など、サステイナブルな社会の構築のために大学が先導的役割を果たすため環境を実現することが求められる。近年、国立大学を取り巻く社会状況は大きく変化しており、特に新型コロナウイルス感染症の拡大は、 DXを加速させ、大学にとってキャンパスの意義やあり方を問い直す機会となっている。東海機構も「デジタルユニバーシティ」化を推進しており、対面とオンライン双方のメリットを活かした学修者本位の教育空 間や、バーチャル空間での活動をふまえた「知」の交流の拠点としてのリアル空間、感染リスクに配慮した施設計画など、ポストコロナ社会の新しいキャンパスのあり方を見据える必要がある。文部科学省が策定した2021年度からの「第 5 次国立大学法人等施設整備 5 か年計画」では、施設整備の方向性として、国立大学等が「共創」の拠点としての役割を果たすために、キャンパス全体を「イノベーション・コモンズ」へと転換していくとしている。イノベーション・コモンズとは、ソフト・ハードの取組が一体となり、対面とオンラインとのコミュニケーションを融合させながら、あらゆる分野、あらゆる場面 で、あらゆるプレーヤーが「共創」できるキャンパスであり、教育研究施設だけでなく、食堂や寮、屋外空間等も含めキャンパス全体が有機的に連携した「共創」の拠点である。これまでも本学は、地域・産業界との「共創」を志向し、施設の整備や活用を行ってきたが、東海機構では「コモンズ」という統一概念を導入し、より強く共創による教育研究を展開することとしており、名大キャンパス内だけでなく、広く地域や企業との共創できる場としてキャンパスを捉えていくことが求められる。0051|SDGs達成に貢献する大学とキャンパス2|新型コロナウイルス感染症拡大とDXの進行3|イノベーション・コモンズの実現1-2-1 キャンパスに関わる社会状況の変化1-2 キャンパスマスタープラン2022策定の背景
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