CMP2022策定の前提となる東海国立大学機構(以下「東海機構」という。)及び本学のアカデミックプランの概要を記載する。本学は、創立当初から受け継がれている「自由闊達」な学風を伝統とし、2000年に制定された「名古屋大学学術憲章」における研究と教育の 2 つの基本目標、「創造的な研究活動によって真理を探究し、世界屈指の知的成果を産み出す」、「自発性を重視する教育実践によって、論理的思考力と想像力に富んだ勇気ある知識人を育てる」を掲げて、その実現のため努力を重ねている。また、本学は社会への貢献を大きな目標として掲げ、「時代とともに変化する社会のニーズにマッチした人材」、「社会の様々な分野でリーダーとして活躍できる人材」の育成を目指して教職員が日々工夫を凝らして活動に励んでいる。国による国立大学改革の動きを受け、この数年で本学も大きな組織改革を行った。2018年には「世界屈指の研究大学」を目標に「新たなマルチキャンパスシステムの樹立による持続的発展」などのビジョンを 掲げ、指定国立大学法人の指定を受けた。さらに一法人複数大学方式の検討を進め、2020年4月、本学は 岐阜大学との法人統合により、国立大学法人東海国立大学機構を設立した。「東海国立大学機構スタートアップビジョン」では、「地域は世界に通じ、世界は地域に通じている」を基本的なコンセプトに、国際的な競争力向上と地域創生への貢献を両輪とした発展を目指し、「1 .世界最高水準の研究の展開による知の拠点化 2.国際通用性のある質の高い教育の実践 3.社会・産業の課題解決を通じた国際社会と地域創生への貢献」を目標に掲げている。研究面では、「糖鎖生命コア研究拠点」など世界最高水準の4 つの機構直轄の知の拠点の整備を目指し、教育面では、教育のヘッドクォーターとして、 各大学の自律性を尊重しながら機構の枠組みを活かした教育資源・成果の共有を進め、互いのメリットを活かした教育改革を推進するアカデミック・セントラルを設立した。松尾清一機構長は2022年4月「東海国立大学機構2022年度目標」を公表した。ここでは、機構のこれからの目標として「『コモンズ』という統一概念の導入、知のコモンズ(東海機構を地域および人類共有財産として、多様な人が機構構成員とインクルーシブな共同作業を通じて新たな価値創造と社会貢献を行う場)の実現。『コモンズ』という概念で両大学の理念を統一。」としており、キャンパスが「コモンズ」であることが強く示唆されている。また、名古屋大学として「国際卓越研究大学」を目指した企画戦略構築と施策の策定と実行が、当面の重要な施策として打ち出されている。キャンパスマスタープランは、各大学の個性やこれまでの経緯を尊重し、それぞれの大学で策定することとしているが、一法人複数大学制によるメリットを活かすガバナンス体制とすることも法人統合の狙いで あり、組織体制の一元化や財務基盤の強化などとともに、キャンパス・施設についても東海機構としての戦略がキャンパスマスタープランの上位に掲げられる。第4期中期目標・中期計画は、はじめて東海機構として出された両大学の目標である。上記のスタートアップビジョンを達成するための、教育、研究、社会との共創に関する目標や達成水準を含む評価指標を掲げており、これらを実現するための基盤となる施設及び設備については、「保有資産を最大限活用するとともに、東海機構としてのマネジメントによる戦略的な整備・共用を進め、地域・社会・世界に一層貢献していくための機能強化0031|名古屋大学学術憲章2|東海国立大学機構の設立とそのビジョン3|第4期中期目標・中期計画1-1-2 東海国立大学機構・名古屋大学のアカデミックプラン
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