本学の「設計標準仕様書」には、内装の仕上げ、設備機器や断熱の仕様など、すべての施設に共通して確保すべき標準仕様が定められている。これは、デザインガイドラインと同様に、キャンパス全体の統一的印象とばらつきのない機能をもたらすためのものであり、規制というよりも、これをもとに多様な設計のアイデアを求めるものである。本学では、仕様による規定よりも、コミッショニングによる性能規定を重視し、同等以上の性能を満たす多様な設計のアイデアを尊重する。学内外の多くの来訪者を受け入れる大学キャンパスでは、目的地まで導く分かりやすいサイン計画が重要である。また、統一されたサインデザインは、キャンパス全体の印象に大きく影響する。そこで、「東山キャンパス・サインマニュル」が2013年に定められた。これに基づき順次整備が進められたものの、部局エリアサインや建物名サインなどで未だばらつきが見られるほか、分かり易さ、デジタル対応などに課題も残る。そこで、現行マニュアルに合わせて整備を進めつつ、マニュアルの改定を行う。サインと同様、多様な来訪者を受け入れるキャンパスでは、すべての人にとって分け隔てなく使うことができる、ユニバーサルデザインの導入が極めて重要となる。そこで本学では2015年に「ユニバーサルデザインガイドライン」を発行した。車いす利用者や色弱の方、日本語に慣れていない留学生の意見を聴取することで多くの課題が明らかになっており、ガイドラインに基づき整備が進められた。近年ではLGBT等の性的個性を尊重するため、新たに策定した「LGBT等に関する対応ガイドライン」を策定し、障害の有無や性別を限定せずフィッティングボードを備えた「だれでもトイレ」等の整備を進めている。その他にも、男女共同参画を支援するスペースの設置が試みられたが、課題も多く残っている。今後は、現行ガイドラインに合わせて整備を進めつつ、ガイドラインの更新を図る。0921|要求性能の基準となる設計標準仕様書2|サインマニュアルによるキャンパス全体の統一感3|ユニバーサルデザインの取組みとガイドラインの役割4-3-4 各種ガイドラインの運用
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