キャンパスマスタープラン2022
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キャンパスは、多くの建物と広場や街路を備えており、一つの都市空間と捉えることができる。一つの建物のデザインは、周囲の建物のデザインとの統一性を備えることで、そのエリアが一つの集合体として認知され、まちなみ景観として認識されるとともに、界隈としての特徴的な雰囲気をもつことになる。また、単に統一性のみでは単調な景観となるが、そこに多様性が重なることで、豊かな景観を作り出すことが可能になる。本学には10年以上引き継がれてきたデザインガイドラインがあるため、建物の高さを規定する地区計画と合わせて「統一性」が担保されている。それにより、個々の施設の機能や入居者/設計者の個性などに伴う「多様性」が形成されつつある。以上から、特に広大な敷地を持つ東山キャンパスにおいて、エリアごとの景観にそれぞれの個性が形成されてきている。本キャンパスマスタープランにおいては、2019年時点において、広場や通り、建築形態や色彩の影響よって形成されているこれらの建築集合体を、ネットワーク構造として分析した結果を掲載する(図4-9)。これは、改築・改修あるいは減築の際にそのエリアの特徴と、個々の建築や広場の担う役割を捉えるリファレンスとして、設計の際に参照すべきものである。4層から5層の高さと、柱梁のフレームが浮き出た彫の深さ、長方形平面による低くて細長いファサードが、水平線の強調された景観を形成している。グリーンベルトによって南北の建築群が一体感をつくり、色彩はベージュの色彩で統一されている。7層から8層の高さと、排気ダクトや空調機を目隠しし、日射を制御するルーバーが統一的に採用されると同時に多様性をもたらしている。また、特に多くの人が集まる低層部の開放的なガラス面が特徴となっている。7層から8層の高さと、ベージュをベースとして黒をアクセントに用いた外壁デザインが統一性をもたらしている。柱梁のフレームが浮き出た彫の深いファサードも共通しており、この手法は文系エリアでも採用されつつある。0903|デザインのネットワーク構造のリファレンス❶ グリーンベルト周辺[図中の集合体A]❷ 理系エリア[図中の集合体B]❸ リサーチパーク[図中の集合体C]

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